多分誰のタメにもならない音楽療法士の即興練習方法

音楽療法では、即興を用いることがあります。

即興と聴くと、ジャズのような即興をイメージされるかもしれませんが、音楽療法においては違ってきます。

対象者の発する音や声などに合わせて、その質に合わせた音で音楽療法士が即興をしてコミュニケーションを深めていきます。

そんなちょっと変わった?音楽療法の即興トレーニングとして、一音楽療法士はどんな練習をしているのか。

多分、ほとんどの人にとっては興味がないかもしれませんが、しばらく音楽療法士向けの記事を書いてなかったので、久々に書きたくなり投稿しました。

もし、お時間がある方がいましたら、読んでいただけるだけで泣いちゃいます。

 

音楽療法の即興って?

まず、そもそも音楽療法の即興ってどんなやりとりをするのか見てみたい、そんな方も多いと思います。

なぜなら、音楽療法自体どんなことをするのか見たことがないということを、音楽療法士として活動していてよく耳にするからです。

そこで、音楽療法活動の中で即興的なやりとりをしていた動画をYouTubeで見つけたので、いくつかご紹介させていただきます。

まずは、ノードフ・ロビンズ音楽療法を作ったお二人による貴重な動画ありましたので、そちらをご紹介します。

少し緊張した面持ちの女の子が、太鼓を叩くのに合わせてピアニストのポールが即興で音楽を奏でています。

ポールは女の子の緊張した様子から、その様子に適したとポールが思われるマイナー調(暗い雰囲気)の音楽を提示します。

しかし、だんだんとそのやりとりをしていく中で、女の子の表情などにも変化が見れます。

それを見たところで、ポールも音楽に変化をつけていきます。

(あくまでも柳川個人の見解です)

また、こちらの動画も音楽療法における即興がどのようなものか、わかりやすい動画と思います↓

対象者の方の発する声の変化に合わせて、音楽療法士が即興で歌詞をつけ、ギターによる伴奏を都度変化させています。

このように、音楽を通じて対象者とのコミュニケーションを深めることにつながげるなどに導く即興が、音楽療法的な即興といえます。

 

音楽療法士の即興練習法

ここまで読んでいただき、なんとなく音楽療法における即興というものをご理解いただけましたか?

ご紹介した例はあくまでも例で、音楽療法というのは【自閉症の人向けの音楽療法活動】など決まった活動があるのではなく、目の前の対象者に合わせた完全カスタムオーダーな活動をします。

ということは、即興においても100人対象者がいれば100通りの即興があるのです。

ですから、音楽療法士はどんな対象者とも音楽的やりとりができるように、日頃からトレーニングをしなければなりません。

…と言っても、今子育て真っ最中で自分の時間がないと、練習する時間が取れないままセッションに向かう、なんてこともたくさんあります。

そうならないように、あくまでも柳川一個人の場合にはなりますが、どんな即興練習をしているのか、ご紹介していきます

音楽療法士の即興練習法①指の基礎練

やはり、どんな演奏もできるようにするには基礎練しかない。

と思う柳川は、なるべく毎日

  • ハノン
  • スケール
  • アルペジオ
  • 半音階

は弾くようにしてます。

なかなか弾けない日もありますが、時間が取れない時も五分の隙間時間があったら「とりあえず♯系のスケール弾く‼︎」という感じで、この中の何かは弾くようにしてます。

何事も基礎は大事です。

音楽療法士の即興練習法②いろんな音楽を聴く

これはあくまでも個人的な考えなのですが、音楽をやっている人ほど音楽の世界って狭くなりやすい気がするんです。

何故そう思うのかというと、以前、まだiPodが主流だった頃、何万曲も入っていたiPodを私は普段使っていたのですが、友人のiPodの中身を見てみると、ほとんど知らない曲ばっかりだったんです。

その経験から、たくさん曲が入っているといろんな音楽を知っているように、聴いているように思っていたのですが、どうしても好みとかの関係でその世界は狭くなりやすいんだな、と当時思ったのです。

ですから、なるべく自分の音楽の世界を狭めないタメにも、1日1曲は全く聴いたことない曲を聴くようにしてます。

今は、いろんな音楽サブスクもあるので、本当にありがたや〜って感じです。

音楽療法士の即興練習法③かっちょいいと思うフレーズは自分の引き出しに入れる

即興をしたことがある人は体験したことがあるかもしれませんが、即興をしていて「こんな音を出したい」と思っても、元々自分の中にその引き出しがなければすぐに出てきません。

これは英語に置き換えると非常に分かりやすいと思うのですが、たまたま道であった外国人にあれこれ質問されて「こんな風に答えたい」と思っても、自分の中に答えとなる英語の引き出しが入っていなければ、それをとっさに引き出すことはできなず、答えることができなくなってしまう、それと同じことが即興でも起きると私は感じています。

だから即興の練習として一番と言ってもいいくらい私の中で大切にしているのは、常に即興の引き出しを増やす作業をすることです。

その作業として私が日頃から行っているのは、テレビとかYouTubeとかラジオとかいろんな媒体から流れてくる音や音楽の中で「これ、かっちょいい‼︎」「これ、弾きたい‼︎」「この音すごくいい‼︎」と思ったものがあれば、家に帰ってからそれを何度も何度も練習して、自分の中の引き出しにストックできるようにします。

音楽療法士の即興練習法④いろんな音楽療法動画を見る

今はありがたいことに、YouTubeで様々な音楽療法活動の様子を見ることができます・

それらの動画を見て、対象者に対してどんな音楽を即興しているのかの研究をします。

やることとしては

  • 動画を見て同じ音を弾いて真似する
  • 無音で動画を見て「自分ならこんな音を演奏する」ということをする

の大きく二つあります。

最近、子育ての関係でこの時間がゆっくり取れないんですが、まとまった時間があるときにがっつりやる感じです。

音楽療法士の即興練習法⑤いろんな曲を弾く

やっぱり大切なのは、セラピスト自身がいろんな音楽を体験することだと思います。

普段から歌謡曲やアニソンなど、音楽療法士として稼働していると様々な曲を弾いていますが、それでも弾いている曲のジャンルなどに偏りが出てしまうことはあります。

私は高齢者と児童を対象にした音楽療法を実践しているので、どうしても歌謡曲やアニソンなどがメインとなり、現場でクラシックやジャズを使用する機会は少ないです。

ですから、休みの日などにはクラシック、ジャズなど、最近弾いてなかったなと思う曲のジャンルに触れるようにしてます。

 

音楽療法士の皆さん、共に頑張りましょう‼︎

…となんだか偉そうにあれこれ書いてきましたが、子育てして家事もして仕事もしてとなると、このような練習全ていつもできているかと言われると、できてません。

ぶっちゃけ、できてないことの方が多いかな?

けど、できないからってイライラしたりするのではなく、できないなら子育ての中で即興的に歌を作る時間を作るなど、私は日常生活の中で創造的なことができるように工夫しています。

例えば、お風呂に入る前に服を脱ぐのを子供が嫌だったら、その時の子供の気持ちに寄り添いながら即興的に歌を歌ったり…。

子供が元気よく家から出て「公園に早くいきたい‼︎」アピールをしてきたら、その思いをアップテンポな曲で歌ってみたり…。

なんだか職業病にも思われるかもしれませんが、身近な生活の中に音楽療法のヒントはたくさんあります。

音楽療法士さんの多くは女性で、同じように家事、育児しながら活動されている方がほとんどだと思います。

偉そうに聞こえるかもしれませんが、同じように私生活も楽しみながらお仕事もできたらいいな、そうなれるように一緒に頑張れたら嬉しい‼︎と思う柳川でした。

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