発達障害のある子どもや、発達がゆっくりな子どもの中には、「わんわん」「ぶーぶ」などの一語文を話したり、二語文は話すけれども、言葉でのやり取り、いわゆる言語によるコミュニケーションがうまく成立しないという子がいます。
一見、言葉を発しているのであれば、そのまま成長と共に語彙が増えていき、自然と言語コミュニケーションができるのではないかと思われるかもしれません。
しかし、発達障害のある子どもや発達がゆっくりな子どもの中には、語彙が増えていけば自然と言語コミュニケーションができるようにならない場合もあります。
なぜならば、人と人とが言語によるコミュニケーションができるようになるためには、単に語彙が増えればいいというわけではないからです。
言語コミュニケーションができるようになるためには、まず他者意識から
人と人が言葉によるやり取り、すなわち言語コミュニケーションを確立するために、絶対に必要となる基盤は、他者への意識です。
発達障害のある子どもや発達がゆっくりな子どもの中には、他者意識が持ちにくい子どももいます。
そのため、語彙を増やしてもなかなか言語によるコミュニケーションが難しいという子も多いです。
その理由の一つに、この他者意識を持ちにくいというものがあります。
そのような子どもに対して、音楽療法では、音楽を用いて他者に意識を向けられるように支援をしていきます。
例えば、とある発達障害のある子どもが音楽療法士のいる部屋に入っても、目の前にいる音楽療法士に意識を向けることなく、自由に部屋を歩き始めたとします。
音楽療法士は、その子の歩く足の動きに合わせて即興的に音をつけます。
この時の即興の音選びは、その子の歩き方、雰囲気、表情から音楽療法士が「適切ではないか」と思う即興を演奏します。
軽やかにスキップするように歩いている子に対しては、明るく軽快な音づけを。
反対に、ゆっくり、のっしりと歩く子に対しては、のっしのっしと重厚感ある音づけをします。
最初は何が何だかわからない状況で自由に歩いていた子も、自分の動く足音に音楽をつけてくれているということに気づいた時。
この瞬間がまさに、他者に意識を持ってくれる瞬間と言えます。
その瞬間を音楽療法士は逃しません。
この即興をきっかけに、音楽療法士はその子に音楽を用いてやりとりを働きかけます。
やりとりをすることが、言語コミュニケーションにつながる土台作りとなる
言語コミュニケーションができるようになるためには、まず他者意識を持たなければならないとお伝えしましたが、他者に意識を持つだけではコミュニケーションは成立しません。
コミュニケーションが成立するためには、やりとりができるようにならなければなりません。
言語コミュニケーションは、相手が話す→自分が話す、また相手が話す→自分が話す…。
この餅つきのような他者とのやり取りは、まさにリズムがあって成立します。
音楽療法には様々な技法がありますが、その中の一つにコールアンドレスポンスがあります。
コールアンドレスポンスとはなにかというと、ライブでアーティストが呼びかけるのに対して、観客が応える様子がわかりやすでしょう。
音楽療法では、音楽療法士が子どもがこちらに意識を向いてくれた瞬間に、歌や楽器を使って呼びかけたり、鳴らして見せたりします。
そして、子どもが呼びかけに応えたり、楽器を鳴らして応えてくれたら、音楽療法士もすぐさまその反応に答えます。
ここでは何か明確な単語を用いるとは限りません。
うまく言葉が発せられなず、「あ〜ぅ」と喃語のような発声のみの子どもに対しては、音楽療法士も同じく「あ〜ぅ」と発してやり取りをします。
そこに音楽を乗せ、8小節から16小節ほどの即興音楽にしていきます。
短い曲にする理由は、子どもの集中力は大人に比べて短いことと、どんな子どもも繰り返しが大好きなので、何回でも繰り返して楽しみながらやりとりをする仕掛けを作るためです。
このような音楽的配慮・工夫をすることで、見通しが持ちにくく、不安になりやすい子どもも、集中してやりとりできる環境を作ることができます。
言語コミュニケーションができるようになるには、やり取りが楽しいと感じてもらうことが大切
音楽療法士として音楽療法の最大の魅力は何かと言われたら、それは楽しみながら取り組む環境を作ることができることでしょう。
言語によるコミュニケーション練習も、一見リハビリのようにしてしまうと、どこか楽しくなくなってしまうかもしれません。
しかし、音楽が加わることで、自然と、楽しく、思わずやってしまいたくなるような、そんな環境作りをすることが可能になります。
お子様の言語コミュニケーションを楽しくトレーニングしたいという方は、ぜひお気軽にお試しセッションに遊びにいらしてください。





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