私はこれまで児童を対象とした音楽療法の実践を行なってきた、日本音楽療法学会認定音楽療法士の柳川円(やながわまどか)と申します。
これまで数多くの音楽療法や障害児を対象としたレクレーションを行ってきましたが、活動を行う前に必ずと言っていいほど始まりの歌を歌うことをしていました。
それほど始まりの歌は大切なのですが、今回はなぜ始まりの歌が大切なのか。
そして、どのような歌を選曲すればいいのかについてまとめてみました。
今、障害児を対象とした音楽療法や音楽を用いたレクレーションをされている方は、ぜひ最後までお読みください。
児童音楽療法や障害児レクレーションで始まりの歌は大切
先ほども挙げたように、私は音楽療法を行う際に必ずはじまりの歌を歌います。
なぜ、始まりの歌を歌うことをそんなに大切にしているのか。
それは音楽には、この歌を聞くと〇〇をするという意識をもつことにつながりやすいからです。
例えば、閉店間際のお店に行くと、よく【♪蛍の光】などの閉店ソングが流れていたりします。
この音楽を聴くと、あなたはどう思いますか?
「まだまだのんびり買い物できる」と思う方は少数派かと思いますが、ほとんどの方は「もう閉店なんだ‼︎」と閉店であることに気づき、急いで買い物をしなければという意識につながるはずです。
そう、このように音楽には特定の音楽を聴くと〇〇の時間という意識づけになるのです。
発達障害のある子供の中には、「これから音楽をするよ」と言葉で伝えても、なかなか意味理解が難しい子供もいます。
そんな子供に対して、はじまりの音楽を最初に用いることは言葉で伝わらなくても、音楽によってこれから何が始まるのかを伝える大切なツールとなるのです。
児童音楽療法や障害児レクレーションでの始まりの歌の選曲方法
ここまで読んでいただき、始まりの歌の大切さについて理解していただけましたか?
大事なのはここからで、一体どんな曲を始まりの歌に選曲するのがいいのかがポイントになります。
音楽療法に関する本や楽譜の中に、参考になる曲がたくさん掲載されています。
例えば、私がよく使用するこちらの【静かな森の大きな木】にも、始まりの歌にぴったりな歌はたくさん掲載されているので、この楽譜の中から選曲するのもいいでしょう。
また、子供が好きな既成曲をしようするのもいいでしょう。
大切なのは、子供に適した歌を選曲するということです。
好きな曲だから適した曲ではなく、始まりの意識を子供が持てるかどうかが大事なポイントになります。
例えば、音楽が大好きすぎる子に、元気いっぱいの音楽を始まりの歌に選曲してしまい、気分が高揚しすぎてしまってはその後の音楽レクレーションや音楽療法活動が難しくなってしまいます。
そう、音楽の内容によっては提供することで刺激的になりすぎでしまい、逆効果になってしまうことも少なくありません。
セラピストや指導者は、このようなことにならないように注意することを忘れないようにしましょう。
児童音楽療法や障害児レクレーションでは短めの曲を選曲しよう
音楽療法に載っている曲の特徴に、短くて見通しが持てるような曲構造というものがあります。
発達障害のある子供の中には、集中力が持続しにくい子供もいます。
そのような子供に対して、あまりにも始まりの歌が長いと一体いつ終わるんだろうと不安になったり、途中席を離脱してしまうことにつながるので、選曲する際は対象者の子供の集中力が持続できる長さの曲を用いるといいでしょう。
ちなみに私は基本、8〜16小節の曲を音楽療法で使用します。
そのくらいの曲の長さが、一番子供が集中して聴いてくれるように感じるからです。
児童音楽療法や障害児レクレーションでの始まりの歌の音量にも気を付けよう
また、発達障害のある子供に対して注意しなければならないのは、音量です。
発達障害のある子供の中には、聴覚過敏のある子供もいます。
そんな子供に対して、グランドピアノの蓋を開けて大音量で弾くなどということは絶対にやめましょう。
それがきっかけで、もしかすると音楽が苦手になってしまうかもしれません。
私は子供を対象とした音楽療法を行う場合、よく弱音ペダルを踏みます。
対象者によってペダルの使用頻度は変わりますが、始まりの歌の時は使用する場合が多いです。
児童音楽療法や障害児レクレーションでの始まりの歌で他の楽器を使用する
もし、ピアノやキーボードだと音量が大きくて、子供に適さないと感じた場合は、使用する楽器を他のものに変えてもいいでしょう。
例えば、私は音楽療法の中でウクレレを使用することがあります。
ウクレレはギターより小ぶりで音が小さく、また音質もやわらかいことから聴覚過敏の子でも受け入れやすい楽器と考えています。
このように、始まりの歌で使用する楽器を変えてみることも、障害のある子供を対象とした音楽活動では大切なポイントとなります。
児童音楽療法や障害児レクレーションでの始まりの歌の選曲方法
結論。
児童を対象とした音楽療法や障害のある子供たちが音楽レクレーションを行う際には、始まりの歌を歌ってから始めるといいでしょう。
また、その際に
- 短めの歌で
- 音量が大きくなりすぎないよう
配慮することが大切です。
どれも今日から少しの工夫でできることなので、ぜひ現場でも取り入れてみてください。
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児童音楽療法や障害児レクレーションでの始まりの歌の選曲方法まとめ
いかがでしたか?
始まりの歌というのはそれだけ重要なポイントといえるものです。
もし、今日障害のある子を対象としたレクレーションや音楽療法を行う方は、実践されてみてください。
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