音楽療法士による「認知症と生きる 希望の処方箋」映画感想レビュー

お久しぶりです。

関東に5年も住んでおきながら、いまだに関東の猛暑に慣れず引きこもりをしている柳川です。

この度私柳川は、暑い中久々にお出かけをしてまいりました。

しかも、新宿まで。

生粋の道産子で暑がり寒がりの私にとって、この季節の大移動はかなり気合を入れたものだったのですが、そんな引きこもりの私がなぜ新宿まで出かけたのか。

それは、こちら↓

新宿武蔵野映画館まで「認知症と生きる 希望の処方箋」の映画を見てまいりました。

※詳細はこちら

久々の映画鑑賞ということもあり、うきうきわくわくな感じで見に行った私一個人の感想をここに書いてみようと思い、今パソコンに向かっております。

ちなみにネタバレなしでレビューをしていくので、まだ見ていない方も安心して読み進めてみてください。

 

音楽療法士による「認知症と生きる 希望の処方箋」映画感想

まず、全体的な感想としては、見てとても良かったと思う映画だった。

良かった点として、音楽療法がTVなどのメディアで取り上げられるときの多くは、ベテランの大御所の先生方がほとんどなイメージがある柳川だったが、今回の映画のメインは若手の音楽療法士ということである。

なかなかメディアで取り上げられることが少ない、フレッシュな、ヤングな、若々しい(もうここでやめておく)音楽療法士の活躍をまとめた記録として、とても完成度が高いと感じた。

具体的にどのような点が完成度が高いと感じたかというと、音楽療法というとまだまだ「音で人を癒す人?」なんて言われることもあるが、今回この映画では音楽療法というのはどのような現場で、どのような人を対象に、どのようなことを行い、どのような関わりをするのか、全てが映像に記録されていた点である。

私自身は音楽療法士であるのでセッションの様子は見慣れているが、音楽療法の現場を見たことがない一般の方にとっては、とても新鮮と思われる映像が見れるのではないかと思う。

なぜなら、音楽療法の様子が公で見られるのは、最近はYouTubeなどでも見れるようになったが、まだまだ見られるセッションというのは少ないし、基本的に見られる機会というのは学術大会などでしかないからである。

では、音楽療法士や音楽療法の現場を見たことがある人にとっては、見る価値がない映画なのか。

私自身の話にはなるが、これまで高齢者領域の音楽療法では集団でのセッションが多かった。

おそらく日本で高齢者領域を対象に音楽療法を行なっている方は、個人よりも集団が多いのではないかと柳川一個人的に思う(違ったらごめんなさい)。

しかし、今回この映画でたくさんの個人セッションの様子が取り上げていたことで、普段なかなか見ることができないセッションを見ることができ、学び多き時間を得ることができた。

個人的には、高齢者領域の音楽療法を行われている人にも見て欲しいと思う映画である。

この映画を一行でまとめるのであれば、現在日本で行われている認知症の方を対象とした音楽療法の現場が、よく理解できる作品、といえるだろう。

しかし、悲しいかな。

このように病院の医師と音楽療法士が直接連携をしながらセッションを行う環境というのは、まだまだ日本でも少ないのではないかと感じる。

なぜなら、音楽療法の認知度は少しずつ上がりつつあるものの、まだ日本全国各地で普及しているものかどうかというと、そうではないと感じるからである。

この映画を見るのは、音楽療法に興味がある方が大半だと思う。

これをきっかけに音楽療法士以外の職種の方に、音楽療法とは何なのか、認知症の方にどのようなことを行うのか、興味を持ってもらえたらすごく嬉しい。

そして仕事をください。←をい。

また、個人的に一番心に響いたのがポスターに添えられた「認知症になっても幸せに生きなければならない」という言葉だ。

そう、認知症になってしまった後「もう生きることが嫌になったので、人生やめます」と言ってやめられる人生はないということだ。

今現在、日本では高齢化が進んでおり、平均寿命は平成22年調べで男性は79.64年、女性は86.39年となっている。

(引用:厚生労働省HPより

平均寿命と健康寿命は必ずしもイコールではない。

健康寿命は、令和元年で男性は72.68歳、女性は75.38歳となっている。

(引用:厚生労働省HP

なんと、平均寿命と健康寿命はこのブログの数字を使うと男性では約7年、女性は約11年も差があるのだ。

少し話は逸れるが、私の家族には要介護になった者がいる。

その者が要介護になってから「私はいつまで生きなければならないのだろう」と呟いたことがあった。

今回、この映画のポスターを見たときに、その言葉をハッと思い出させられた。

まさにその渦中にいる人は、出口のない暗いトンネルの中にいるような、そんな心境なのではないかと想像する。

しかし、そんな方々に対して適切な音楽を提供することによって、吐き出せなかった思いを吐き出すことや、不安を感じる時間を軽減したりすることにつながると、改めてこの映画を見て感じた。

映画の中で印象に残った言葉がある。

公式HPにも書いてあるが、映画の中で認知症の夫を介護する奥様がこんな言葉を話す。

「音楽療法で(←と前置きがあったと思う)認知症は治らなくても幸せになる時があればいい」

私はこの言葉を、音楽療法の対象者であるご家族から聞けたことに喜びを感じた。

音楽によって気分を不快にさせてしまうことは、正直ある。

しかし、反対に幸せな気分を与えてくれるのも事実。

認知症になっても、対象者、そして支える家族に音楽を通じて共に幸せを感じられる時間を過ごしてもらえたら、音楽療法士としてこの上なく幸せなことだろう。

私はそんな風に思いながら、映画館を後にした。

 

「認知症と生きる 希望の処方箋」映画上映の情報はこちら

今回レビューをさせていただいた「認知症と生きる 希望の処方箋」の映画情報を知りたい方は、こちらをご覧ください。

東京で上映中の新宿武蔵野館は8月24日までの上映となっていますので、興味のある方はお早めに‼︎

それではまた〜^ ^