「椅子に座るのはほんの数秒だけ」
「絵本も最後まで読めた試しがない」
「療育でも“じっとして”が難しいと指摘される」
そんな声を、親御さんのネット上の書き込みでよく見かけます。
私も音楽療法士であると同時に、一児の母でもあります。
お子さんの落ち着かなさに、「どうしたらいいんだろう」と悩むお気持ちは、よくわかります。
しかし、私たち音楽療法士は、「座れない=問題」とはとらえていません。
【座っていられない子】動いていても大丈夫。それが“この子のスタート地点”
音楽療法の場では、まずこう考えます。
「今、この子が安心できる場所ってどこだろう?」
「動き回るのには、どんな意味があるんだろう?」
子どもが落ち着かないのには、身体の中にたまったエネルギーや、不安、刺激の敏感さなど、ちゃんと理由があると私は考えます。
無理に座らせたり、静かにさせたりすることよりも、まずは「そのままでいていいよ」と伝えることが、信頼関係の第一歩なんです。
【座っていられない子】音楽には「動きたい気持ち」を受けとめる力がある
たとえば、楽器のリズムに合わせて走り出す。
ピアノの音の高低にあわせてジャンプする。
テンポの変化に合わせて、止まったり動いたりしてみる。
こうした関わりの中で、子どもたちは「動くこと=受け入れられている」と感じ、少しずつ安心していくことがあります。
そして不思議なことに、そんな安心感の先に、信頼関係もでき、「座って聴く」瞬間が自然と生まれることもあります。
【座っていられない子】落ち着かせるための場所ではなく、「今の姿」を受け止める場所
音楽療法は、子どもを「静かにさせる場所」ではありません。
ましてや、ピアノ教室のように何かを「できるようにさせる訓練」でもありません。
「今の姿でも大丈夫」と受け止めながら、音楽おを使ってその子の“今”と向き合う場所です。
だからこそ、動き回る子どもにも、「音に反応した」「笑った」「じっと耳を傾けた」
そんな小さな“できた”にひとつひとつ気づいていき、音楽による信頼関係を深めていきます。
【座っていられない子】「じっとできない子」にこそ、音楽が助けになるかも
「座っていられない」と感じると、どうしても何か“正さなきゃ”と思ってしまいますよね。
でもその前に、「この子は今、何を感じているんだろう?」そんな視点をもって、音と向き合ってみてほしいんです。
音楽療法は、子どもが動きながら“心を動かす”ための時間。
静かじゃなくても、騒がしくても、落ち着かなくてもいいんです。
音がその子の内側に届くとき、そこから新しい“つながり”が始まります。
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