(※2020年11月5日更新)
みなさん、こんにちは^^
音楽療法士&リトミック講師の柳川円です。
突然ですが、【パーソナルソング】という映画をあなたはご存知ですか??
現在Amazonプライム対象となっているこの映画は、日本公開時に情報番組やワイドショーでも取り上げられるなど非常に話題になりました。
公開から数年経った今、この映画を改めてみて、果たして映画【パーソナルソング】は音楽療法なのかについて一音楽療法士の私が思ったこと、感想などをまとめてみました。
まだ映画を見ていない方や興味のある方は、ぜひご覧ください。
音楽療法映画と言われるパーソナルソングとはどんな映画??
今回ご紹介するのは、【パーソナルソング】という映画です。
先ほども挙げたように2014年に日本で公開されたこの映画は、ワイドショーや情報番組など当時日本のメディアでも大きく取り上げられました。
この映画はどのような内容かというと、アメリカの認知症やアルツハイマー患者などの高齢者にiPodを渡し、ヘッドホンで幼少期や若い頃に聴いていた音楽を聴いてもらうと、昔のことを饒舌に語り始めたり、歩行器を使用している人が歩行器なしで踊り始めたりする姿が描かれているドキュメンタリー映画となっています。
【パーソナルソング】は音楽療法映画なのか??
映画を見ていると、日本語字幕では「音楽療法」という言葉が頻繁に使われていますが、この映画で行われているヘッドホンで好みの音楽を聴かせることは音楽療法なのかどうか気になっている方も多いかと思います。
一音楽療法士としてこの映画を見て思ったことは、映画の中で描かれていた音楽による効果は、音楽の療法的な力が発揮され、現れた結果をたくさん見ることができました。
音楽を聴くとそれまで暗かった表情が明るくなったり、楽しくなって踊り出したり…。
これらは音楽療法士として活動している中でも、よくみかける情景です。
ですが、この映画のように一人一人ヘッドホンをつけて音楽を聴いてもらうということは、音楽療法とは言えないです。
ではなぜ、映画【パーソナルソング】で行われている音楽提供が音楽療法ではないと考えるのか。
次にまとめてみました。
【音楽療法映画】そもそも音楽療法とは一体何なのか
まず、そもそも音楽療法とは一体何なのでしょうか。
日本音楽療法学会の定義では、音楽療法を
音楽のもつ生理的、心理的、社会的働きを用いて、 心身の障害の回復、機能の維持改善、生活の質の向上、行動の変容などに向けて、音楽を意図的、計画的に使用すること
と定義されています。
もっとシンプルにいうと、音楽療法というのは音楽を通して関わることによって生活の質の向上などを目指すものとなります。
ということは、音楽を通しての人と人の関わりがあって初めて音楽療法といえるのです。
しかし、映画【パーソナルソング】ではヘッドホンを一人一人渡し、昔懐かしの曲を聴いてもらうのみで、そこには音楽を通した人と人の関わりがありません。
ですから映画内の音楽提供は、音楽療法には当てはまらないと言えるのではないでしょうか。
ですが、この映画が「音楽療法の映画」と日本で紹介されたり、映画内の字幕でも「音楽療法」と頻繁に使われているため、多くの人がこの映画を音楽療法映画と思ってしまったのでしょう。
【音楽療法映画】パーソナルソングは音楽だけで得られた変化なのか
一方的な音楽の提供は音楽療法ではないということはお伝えした通りですが、では映画内の音楽による対象者の変化は果たして音楽だけで変化できたのでしょうか。
私は違うと感じました。
なぜなら、高齢者の方に音楽を提供するダン・コーエンさんと対象者の方とのコミュニケーションを見ていて、これは彼と対象者の高齢者の方との人と人との関わりがあって生まれた変化なのではないか、と感じたからです。
映画内で在宅で過ごす認知症の女性が出てきますが、自分の名前もわからない、エレベーターの乗り方もわからないという彼女は、「誰かの力を借りないと何もできない」とダン・コーエンの前で涙を流します。
そんな彼女の話を聴いた後、ダン・コーエンは「何か音楽でも聴いてみる??」と提案し、彼女でも操作できるよう優しくiPodの使い方やヘッドホンの付け方を教えてあげます。
彼女以外にも、彼は音楽を聴いてもらう高齢者一人ひとりに相手の心に寄り添って言葉かけをしているのがよくわかります。
この映画に出てくる高齢者の方が音楽によって変化したのは、音楽の力だけではなく、彼の相手の心に寄り添ったコミュニケーションがあったからこそ生まれたものではないかと私は感じました。
【音楽療法映画】映画の方法は特効薬ではない
この映画は、音楽の療法的な効果について知ることができる素晴らしい映画だと思います。
しかし、この映画を見て知っておいて欲しいことは、この映画の方法で高齢者に音楽を提供すれば映画のような変化が得られる訳ではありません。
名古屋音楽大学の猪狩裕史先生のサイトには
現代人は、「特効薬」を求める傾向があるように感じますが、それ故に、この「パーソナルソング」の「方法」だけを特効薬として取り入れて、それを「音楽療法」と呼ぼうとする動きが起こっても不思議はありません。
しかしながら、それは音楽療法ではないのです。
「ニーズのある人の健康を、音楽を通して関わることにより向上させていく過程」には、様々な知識や技術、その裏付け、また人間的な配慮を要します。
と書かれていますが、まさに私も同じ思いで映画を見ていました。
この映画では、音楽の可能性や音楽の療法的効果を知ることができますが、これが音楽療法ということではないということを知っていただければ幸いです。
【音楽療法映画】この映画の個人的な見どころ
ここからは完全に私個人の勝手な感想ですが、この映画の中の1番の個人的な見どころはボビーマクファーリンが出ていることです。
実は私、彼の大ファンでして地味にDVDも持っているレベルで大好きなのです。
ボビーマクファーリンはアメリカのジャズシンガーで、ものすごいパフォーマンス能力を持っている素晴らしいミュージシャンです。
彼のパフォーマンスを見たことない方はぜひ下記の動画をご覧ください↓
天才×天才の演奏は素晴らしいですね。
そんな天才的な彼がこの映画にもチラリと出ているので、ファンの方はぜひご覧ください。
映画【パーソナルソング】を見るならAmazonプライムで
この記事を読んで映画【パーソナルソング】を見てみたいという方は、Amazonプライムから視聴するのがおすすめです。
月額500円で、【パーソナルソング】以外の映画やアニメも視聴することができるので、とってもお得です。
まだAmazonプライム会員ではない方は、これを機にぜひ登録してみてくださいね。
パーソナルソングは音楽療法の映画なのか??まとめ
日本で「音楽療法」と紹介され、映画内の字幕も「音楽療法」と表現されているので、音楽療法をこの映画で初めて知る人にとっては「これが音楽療法だ‼︎」と思ってしまいそうですが、実はこれは音楽療法とは言えません。
ですが、音楽療法的な効果を見ることができる映画には間違いありませんので、音楽療法的な効果とは一体どのようなものなのかをみてみたい方には、ぜひご覧いただきたいと思います。
また、このブログを通して私も一音楽療法士として、音楽療法に対する誤解が生まれないよう、発信活動をしていきたいと思います。
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