発達障害などでコミュニケーションの改善に繋げる音楽療法的アプローチ

発達障害のある方の中に、コミュニケーションが苦手という方がいます。

コミュニケーションがうまくできないと、自分の意思な思いを相手に伝えることが難しく、ストレスが溜まってしまうなどにつながったり、生きていく上で困難なことがたくさん生じやすくなると私は考えます。

中には言語によるコミュニケーションが苦手、難しいという方もいるので、苦手さを改善するためには、言語を使わない方法でトレーニングするのがいい場合があります。

そんな方におすすめしたいのが、音楽療法です。

音楽療法では、音楽を用いることで言葉を使わない、いわゆる非言語によるコミュニケーションを図る活動を行います。

また、音楽があることで楽しみながら改善に繋げるトレーニングを行うことができます。

そんな音楽療法って一体なんなの?

コミュニケーションの苦手を改善につなげる音楽療法ってどんなことをするの?

今回の記事では、これまで発達障害のあるお子様を対象に音楽療法を実践してきた私柳川が、そんな音楽療法についてお話をしてまいります。

 

【発達障害のコミュニケーション改善】どんな風に音楽をしてコミュニケーションを図るのか

いきなりですが、音楽療法ってどんなことをするのでしょうか。

そして、どんな風に音楽を用いてコミュニケーションを図っていくのでしょうか。

音楽療法の説明を最初にする前に、まずは音楽療法の実際の様子を見ていただいた方がこの後のお話が理解しやすいのでは?と思いましたので、最初に映像をお見せします。

例えば、このセッション↓

対象者である女の子が生き生きと積極的に参加しているのが柳川的に嬉しくなるこの音楽療法ですが、この映像で行われている音楽療法アプローチは、ノードフ・ロビンズ音楽療法といいます。

ノードフ・ロビンズ音楽療法というのは、即興演奏が中心となっている点が特徴です。

即興演奏というと、ジャズのような音楽をイメージされるかもしれませんが、この動画を見てお気づきの方もいますが音楽療法での即興演奏は異なります。

どのように音楽療法士は即興演奏を行なっていくのか。

この音楽療法では、対象者の動きや表情、呼吸や発する音などに合わせて、今、目の前に適切な音楽はなんなのか考えながら音楽療法士は即興演奏を行なっているのです。

そう、音楽療法士というのは、対象者の理解はもちろん、音楽的技術・知識を持って初めてできる仕事なのです。

 

【発達障害のコミュニケーション改善】そもそも音楽療法とは?

さきほどの映像を見て、音楽療法のイメージが少し湧きましたでしょうか?

改めて、音楽療法とはいったいなんなのか。

この言葉を聞くだけだと「癒しの音楽を聴くこと?」と思われるかもしれませんが、音楽療法とは端的にいうと

【音楽の持つ機能などを意図的・計画的に用いることで、社会問題の行動の現象に繋げたり、QOL(生活の質)向上につなげるように行う音楽活動】

と私はいつも説明しています。

音楽には様々な機能や効果があります。

例えば、【♪幸せながら手を叩こう】という歌がありますが、これは音楽の空白部分で手を叩きます。

なぜ空白部分で手を叩くのか。

それは、人は空白部分を音で埋めたくなるという心理になるからなのです。

誰だって沈黙の時間は苦手ですよね。

それと一緒にです。

このように、音楽の持つ機能などを意図的・計画的に用いながら、目標・目的に沿った音楽活動を行うのが、音楽療法となります。

 

音楽療法には発達障害のコミュニケーションの促進が期待される

音楽療法は、まだまだエビデンスが少ないために様々な音楽療法士が研究に取り組んでいるのが、今の現状です。

しかし、音楽療法には様々な効果が期待されています。

その中に、コミュニケーションの促進があります。

先ほども言いましたが、音楽を使うことで言葉を使わないコミュニケーションを図ることを、音楽療法では行います。

特に、精神地遅滞や自閉症、脳性麻痺、選択性場面緘黙症などといった、言語によるコミュニケーションの能力に障害を持つ子供に対しては、音楽を利用したアプローチが有効であると言われています。

(参考引用文献:標準 音楽療法入門【下】実践編(改訂版)

 

【発達障害のコミュニケーション改善】対象者に合わせたアプローチを行う

音楽療法では、どのようなアプローチや技法を実践で取り入れるのか。

最初に紹介した映像は、ノードフ・ロビンズ音楽療法という音楽療法の中の一つのアプローチでしたが、音楽療法には様々なアプローチ方法や技法があります。

例えば、未解決技法などを用いて対象者の行動を促すというものがあります。

未解決技法とは、調性の中の導音を含んだ不安定な和音(例えばハ長調ならソシレファ)で音楽を止め、間を持たせた後に安定した和音(ハ長調ならドミソ)に解決することで、行動等を引き出すことをいいます。

…と書いてもなかなかわかりにくいので、こちらはまたまた動画を用いて説明をさせていただきます。

カデンツの響きを例に出すと、一般的なカデンツの流れは

一見、なんのへんてつもないカデンツの流れです。

いわゆる、「起立」→「気をつけ」→「礼」の流れの和音進行です。

しかし、このカデンツが次の動画のように途中で止まってしまったら…

 

多くの人が「えっ!?どうしたの??」と驚きやハッとした気持ちになります。

そして「え!?」と思わず発言したり、ピアノを弾いている音楽療法士に視線を向けるなどの行動を起こすかもしれません。

このイレギュラーな音の響きを提示することで、相手から発語を引き出したり行動を促したりするのが、未解決技法というのです。

 

【発達障害のコミュニケーション改善】音楽療法を取り組んでいる場所はまだ少ない

ここまで読んでくださった方の中に、音楽療法に興味を持った方や実際に受けてみたいと思った方もいらっしゃるかと思います。

しかし、残念ながら日本全国を見ると「音楽療法を受けたい」と思っても気軽に受けることができる場所というのは少なと言えるでしょう。

音楽療法士の多くは、音楽療法の素晴らしさをぜひ知ってほしいと思い、活動している方がほとんどかと思います。

もちろん、私もその一人です。

しかし、音楽療法を受ける人が気軽に受けられたり、体験する機会がなければ音楽療法の素晴らしさを知ってもらうことにはつながりません。

そこで‼︎

今回川崎市限定ではありますが、音楽療法を気軽に受けられるようイベントを行うことになりました〜♪

※音楽療法イベントの詳細はこちら↓

発達障害児対象の音楽療法を川崎で定期開催します‼︎

ご興味ある方は、お気軽にお問い合わせよりご連絡ください。