音楽療法士直伝‼︎椅子に座れない子供向けの椅子に座るトレーニング

子供は元気いっぱいで好奇心旺盛‼︎

新しいことや楽しいことに積極的にチャレンジする姿は、見ている大人も刺激的に思うのではないでしょうか?

しかし、好奇心などが旺盛すぎると、かえって困った事態になることも。

例えば、幼稚園や保育園などで先生のお話を聞く際に、椅子に座ったり床に座ってお話を聞きますが、すぐにぴゅーん‼︎と移動してしまう子供もいたりします。

そんな子に対して、その場で「座ってお話聞くのよ」と注意をしても、座ったと思ったらまたすぐ立ち上がっていなくなってしまう…。

そんなやりとりを何度もしていると、大人も子供もストレスが溜まってしまいますよね。

そんな子におすすめなのが、音楽を使った椅子に座るトレーニング方法です。

今回は、児童・高齢者を対象に音楽療法活動をしている私柳川が、椅子に座ることを促す音楽療法活動をご紹介します。

 

椅子に座れない子はなぜ座れない?

まず、椅子に座れない子供はなぜ座れないのか。

その理由を知ることをしましょう。

理由を知るために、子供が椅子から立ち上がる瞬間などをよく観察してみましょう。

もしかしたら、窓から入ってくる光がその子にとって眩しすぎると感じ、椅子に座っていられず走り出しているのかもしれません。

また、窓から入ってくる光ではなく、外から聞こえる車の音、隣に座っているお友達の動き、時計の音などが気になってしまうため、椅子に座れないのかもしれない。

はたまた、椅子に座った時にお尻に冷たい感触が伝わることが嫌なのかもしれません。

子供だけではなく、私たち人間は一人一人感じる感覚は異なります。

多くの人は気にならなくても、その子にとっては気になって仕方がないということもあります。

発達障害のある子供の中には、感覚が過敏な子供もいます。

もちろん、感覚や感触以外にも椅子に座れない理由があるかもしれません。

まずは、なぜこの子は椅子に座れないのか、その理由を探すためにその子の様子を事細かにみて知ることをしてみましょう。

 

音楽を使った椅子に座れない子向けの音楽療法

椅子に座れない理由がわかった、またはその理由が見えてきたら、その理由をできるだけ排除し、集中しやすい環境を作った上で椅子に座ることを促す活動を行なっていきます。

今回ご紹介するのは、音楽を用いた椅子に座ることを促すトレーニング方法です。

まず、なぜ音楽を用いるのかというと、音楽があることで楽しみながら取り組むことができる環境を作ることができます。

例えば、腕立て伏せを無音の中でやるよりも、テンポのいいダンスミュージックなどに合わせて腕立て伏せをする方が、楽しくできたり何回も繰り返し意欲的にできたりしませんか?

これは脳の運動野に音楽が刺激をもたらしていることが理由なのですが、このような音楽の働きを意図的・計画的に用いながら、改善に向けて働きかけていく音楽活動が音楽療法なのです。

※音楽療法について詳しく知りたい方はこちら↓

音楽療法士が音楽療法とは何か簡単にわかりやすく解説‼︎

音楽を使った椅子に座れない子向けの音楽療法の活動例

では、椅子に座れない子向けの音楽療法とは、一体どのように行うのでしょうか。

例えば、即時反応活動を行うことがあります。

即時反応活動とは、音楽が流れている間は自由に体を動かして音が止まったら動きを止めるという、音を聞いて瞬時にその音の意味を考え、行動に移す活動のことを言います。

リトミックでも取り入れられることが多い即時反応活動ですが、この活動を行うことで音に耳を傾ける状況を作ります。

椅子に座れない子が、いろんなものにすぐ意識を向けてしまうためにじっと座れないとするのであれば、音楽以外に意識が向く前に音を止め体の動きを止めるように促す。

そして、また音楽を流して自由に体を動かし、他のものに注意関心が向きそうになったらその前に音を止めて音楽に意識を向ける。

これを何度も繰り返し繰り返し行うことで、音楽への集中力を高めるように促します。

この他に、楽器を用いて椅子に座ることを促す活動もあります。

例えば、子供の好きな楽器を用意します。

そして、椅子に座れたらその楽器を子供の前に提示鳴らすことができる、という活動を繰り返し行います。

これは心理学でいういわゆる【正の強化子】で、椅子に座れたら大好きな楽器を鳴らすことができるということ繰り返すことで、適切な行動を増やしていくというものです。

このように、音楽や楽器の持つ働きなどを意図的・計画的に用いることで、目標達成に導く音楽活動を音楽療法というのです。

 

音楽を使った椅子に座れない子向けの音楽療法活動は一人一人異なる

ここまで椅子に座れない子向けの音楽療法活動の例を紹介してきましたが、誤解のないようお伝えしたいことがあります。

それは、今紹介した例は一例であること。

そして、必ずしも効果に導くものではないということです。

近年、音楽療法には

  • ADHDの改善
  • 痛みの軽減
  • 不安の軽減
  • コミュニケーション能力の向上

などの効果があると論文などでも紹介されていますが、100人のADHDの方がいたら100人全員に効果があるとは言えませんし、【ADHDの改善に導く音楽療法】という何か決まったやり方があるわけではありません。

そう、音楽療法というのは目指す目標や目的は同じだったとしても、対象者によって活動内容は音楽療法士による完全オーダーメイドで行われるものなのです。

なぜなら、対象となる方の音楽や楽器の好みなどが異なると、活動自体も変わってくるからです。

また、100%効果を保証するものでもありません。

音楽が嫌いという方にとって、音楽療法は苦痛になることもあることでしょう。

効果があったとしても、個人差があります。

しかし、音楽が好きな方や歌や楽器への興味関心が高い方にとっては、楽しみながら取り組めるアプローチと言えるのではないか、と音楽療法士として思うのです。

 

まずは音楽療法を体感してほしい

音楽療法士として、「多くの人に音楽療法を伝えたい」と思いながらこのブログを発信していますが、音楽を言葉にすることの難しさを感じています。

まぁ、私の文才がないと言って終えばそれまでなのですが(^^;

そこで、音楽療法士とは一体なんなのか、一言で表してと言われたら

「一度、体験してほしい‼︎」

が、ぶっちゃけ本音だったりします。

先ほど言ったように、音楽療法というのは何か決まったやり方があるわけではありません。

一人ひとりに合わせたオーダーメイド活動です。

音楽療法は健康な方はもちろん、障害のある方も参加できる音楽活動です。

今回の活動例を読んで受けてみたいと思われた方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

実際に参加することで音楽の力を感じていただけると、音楽療法士としてお伝えさせていただきます。

音楽療法に参加してみたいと思った方はこちら