(※2020年7月22日更新)
みなさん、こんにちは。
音楽療法士&リトミック講師の柳川円です。
音楽療法士を目指すうえで、対象者の障害や病気について学ぶことは言うまでもありません。
ですが、児童から高齢者までも障害や病気をいっぺんに学ぼうとすると、気が遠くなってしまい、途中で挫折してしまいたくなりますよね。
そこで今回は、音楽療法士を目指す上で必須!!である、高齢者の認知症についてわかりやすくまとめてみました。
これから音楽療法士を目指す方や、学生さんは、ぜひご一読ください。
音楽療法士を目指すなら認知症の知識は必須
今、一番日本で求められている現場として挙げられるのは、高齢者領域ではないでしょうか。
私自身、メインとしては児童領域の音楽療法をやっていましたが、音楽療法を依頼してくる領域としては高齢者領域が非常に多く、気づけば児童領域も高齢者領域での実践をたくさんさせていただきました。
音楽療法士を目指すうえで、高齢者領域に限らず、児童領域・成人領域について知っておくことは言うまでもありませんが、中でも高齢者に関する知識は必須と言えます。
今現在、高齢者の音楽療法士になることを目指していなくても、高齢者領域ができなければ正直音楽療法士活動は難しいといえるくらいだと私自身感じたため、最低でも今回ご紹介する認知症についての知識はしっかりと覚えておくことをおススメします。
【高齢者の音楽療法】認知症とは??
認知症というのは、何らかの病気などによって脳の神経細胞が壊れることをいいます。
認知症は、一昔前までは「痴呆」と呼ばれていたので「認知症もただの物忘れでしょ??」と思われる方もいるかもしれませんが、認知症と物忘れは大きく異なります。
では、認知症と物忘れの違いとは、一体何なのでしょうか。
【高齢者の音楽療法】認知症と加齢による物忘れの違い
物忘れというのは、加齢より自然と誰しもに起こるものです。
私もまだ物忘れをするような年齢ではありませんが、部屋にカギを取りに行ったのに部屋に着いた途端「あれ??何取りに来たんだっけ??」となってしまいますが、あなたもそんな経験ありませんか??
このような場合、しばらく時間を置いたり、来た道をたどったりしている内に何を取りに来たか思い出すことができるかと思いますが、このようにヒントやきっかけがあれば思い出すことができるのが物忘れです。
しかし、認知症になると、脳の神経細胞が壊れてしまうので、ヒントやきっかけがあっても思い出すことができなくなるのです。
このように、認知症は体験したことや記憶をまるごと忘れてしまうことを指します。
【高齢者の音楽療法】認知症には数種類ある
認知症と一言で言っても、様々な種類があると言われています。
日本で多い認知症は、主に
- アルツハイマー型認知症
- レビー小体型認知症
- 血管性認知症
の3種類と言われています。
ではこれらの認知症は、それぞれどのような違いがあるのか。
詳しく説明していきましょう。
【高齢者の音楽療法】認知症の種類①アルツハイマー型認知症
現在、日本の認知症患者の中でも約半数ほどを占めると言われているのが、このアルツハイマー型認知症です。
現在言われているアルツハイマー型認知症の原因として、βアミロイドやβたんぱくと言ったたんぱく質が異常に増加することで神経細胞が死んでしまい、脳が委縮してしまうということが挙げられています。
また、脳が委縮する際、海馬という記憶に深く関わる部分から委縮し、その後、脳全体へと委縮が進んでいきます。
【高齢者の音楽療法】アルツハイマー型認知症の特徴
アルツハイマー型認知症の特徴として、認知機能の低下があります。
例えば、朝ご飯を食べたばかりなのに朝ご飯を食べてしまったことを忘れてしまったり、今日の日付がわからなくなってしまうなどがあります。
このほかにも、精神状態が不安やうつ状態になってしまったり、反対に急に笑顔が増え愛想がよくなる「多幸状態」になるのも、アルツハイマー型認知症の大きな特徴と言えます。
アルツハイマー型認知症の患者には、昔は優しい人だったけど、最近性格が厳しくなったなど(反対の場合もあり)、性格の変化なども良く見られます。
【高齢者の音楽療法】アルツハイマー型認知症には大きく二種類ある
また、アルツハイマー認知症には、二種類存在すると言われています。
それは
- 若年性アルツハイマー型認知症
- 老年型アルツハイマー型認知症
の二種類です。
違いとしては、アルツハイマー型認知症を発症した年齢です。
65歳よりも若く発症した場合は若年性アルツハイマー型認知症、65歳以降に発症した場合を老年型アルツハイマー型認知症と分けられます。
【高齢者の音楽療法】認知症の種類②レビー小体型認知症
アルツハイマー型認知症の次に多いと言われている、レビー小体型認知症。
レビー小体型認知症も、脳の中に異常なたんぱく質が溜まることにより起こるのですが、脳の神経細胞のレビー小体にたんぱく質が増えてしまうことからレビー小体型認知症と呼ばれています。
このレビー小体から他の脳へ広くなってしまうと、レビー小体型認知症になってしまうのです。
【高齢者の音楽療法】レビー小体型認知症の特徴
レビー小体型認知症の特徴として挙げられるのが、記憶機能の変動です。
記憶障害の変動とは、その日の気分などにより理解や感情が変化することを言い、レビー小体型認知症の人は特に夕方ごろ悪化する場合が多いと言われています。
また、レビー小体型認知症でもアルツハイマー型認知症のような記憶障害がみられるのですが、発症したころはあまり記憶障害がみられないことが多く、すぐに認知症だと気づきにくい点があります。
このほかにも、手足がふるえたり、動きが悪くなるなどのパーキンソン症状や、実際には見えないものが見えてしまう幻視などが特徴としてあります。
【高齢者の音楽療法】レビー小体型認知症はわかりづらい
レビー小体型認知症の特徴を読んでお気づきの方もいるかもしれませんが、初期段階のレビー小体型認知症は非常にわかりづらいです。
わかりづらい理由として、先ほども挙げたように患者一人一人のその日の気分などによって症状が変わる為と、症状の出方が一人一人で変わってくるからです。
よくある例として、物忘れの症状から最初はアルツハイマー型認知症と診断されても、その後レビー小体型認知症の症状があらわれて診断が変わるなどということがあります。
ですから、現場で働く音楽療法士も、一職員として患者の様子を見て意識することは非常に大切になります。
【高齢者の音楽療法】認知症の種類③血管性認知症
血管性認知症とは、脳梗塞や脳出血などにより脳細胞が障害を受け発症する認知症です。
認知症の症状としては、脳の障害が起きた場所などによって異なってきます。
【高齢者の音楽療法】血管性認知症の特徴
先ほども紹介したように、血管性認知症は障害を受けた脳の場所などにより、症状が異なってきます。
そのため、ほかの部分は健常なのにも関わらず、ある一部分の脳機能だけ能力が低下してしまうまだら認知症という症状がみられる場合があります。
このほかにも、「せん妄」と言って幻想を見てしまったり、裸で徘徊などのような認知機能の悪化も起こることがあります。
また、障害を受けた脳の場所によっては、変更間隔障害、言語障害、記憶障害などの症状が現れる場合もあります。
【高齢者の音楽療法】認知症とは??まとめ
いかがでしたか??
音楽療法士を目指す上で、認知症に限らず様々な疾患や病気について学ぶ必要がありますが、まず最低でも今回紹介した三大認知症の違いや特徴は抑えておいた方がいいでしょう。
それぞれの認知症の違いを知った上で高齢者施設に実習に行くだけでも、違いを知らない時より音楽療法のセッションの組み立て方がぐんと変わります。
音楽療法は観察に始まり、観察で終わるという言葉を聞いたことがあります。
観察をする際に、今対象者が抱えている病や障害についての知識がなければ、観察すらまともにできません。
しっかりとした観察力のある音楽療法士になれるよう、少しずつ病気や障害の知識を積み重ねていきましょう。
最近のコメント