音楽療法士の大変さとは??フリーの音楽療法士が大変さを本音で語る

(※2020年6月10日更新)

こんにちは^^

音楽療法士&リトミック講師の柳川円です。

今、将来の進路で音楽療法士を目指している方の中に、「実際音楽療法士って、とっても大変そう…」「音楽療法士は大変そうだけど、私にこなせるか心配」と思っている方はいませんか??

今日はそんな音楽療法士の仕事の大変さについて、これまで約5年間1歳半~109歳までの方を対象に音楽療法をしてきた私から、音楽療法士の大変さを本音で語りました。

これから本気で音楽療法士を目指している方は、ぜひご一読ください。

 

音楽療法士は大変なのか

なぜ私が今回この「音楽療法士は大変さ」というテーマで記事を書こうかと思ったのかというと、ネット検索で【音楽療法士】と検索した際に、関連検索用語の中に【音楽療法士 大変】という言葉を目にしたからです。

ネットの関連検索用語というのは、多くの人が関連語と共に検索されているという言葉です。

このことから、「音楽療法士」という言葉を検索している人の多くは、「音楽療法士という仕事は、果たしてどれだけ大変なのか」ということに興味・疑問を抱いているということが推測されました。

そこで、実際に約5年間音楽療法士として働いてきた私の経験の中で、嘘偽りなく率直に感じた音楽療法士という仕事の大変さについてお話していこうと思います。

 

結論:音楽療法士はめっちゃ大変

私はこれまで、施設専属の音楽療法士として約2年、フリーの音楽療法士として約3年ほど稼働してきましたが、専属音楽療法士でもフリーの音楽療法士でも、どんなスタイルで働いても、音楽療法士という仕事はとても大変です。

まぁ世の中、大変じゃない仕事なんてないですしね。

どんな仕事も大変なことには間違いないのですが、これまで一般職やネットビジネスなど様々な事業を経験してきて、ぶっちゃけ音楽療法士は他の職種とは違う大変さを感じることが多いのは事実です。

では、音楽療法士のどのような点が他の仕事とは違う大変さなのか。

次にまとめてみました。

 

音楽療法士の大変さその①他職種との連携

施設や病院などの専属音楽療法士でも、フリーの音楽療法士でも、効果のある音楽療法士を実践していくためには、音楽療法の現場で働いている看護師や介護士などの周りの他職種と上手く連携をしていかなければ成立できません

最近は音楽療法という言葉が日本でも広まりつつありますが、音楽療法の理解が進んでいるとは言えない状況なので、施設や環境によっては上手く連携することが難しいというところもあります。

また、音楽療法という活動はどのようなものかを自ら積極的に広めていく姿勢がないと、音楽療法活動を見て「ピアノが弾ければ誰でもできる仕事」というような誤った認識をされてしまうこともあります。

一見、ただ歌っているだけに見える活動の中にも、どのような意図をもって活動をしているのか、そしてどんな効果を狙っているのかなど周りの他職種に積極的に伝え、そして働きかけなければいけないという、連携体制を自ら築く大変さがあります。

音楽療法士になってからの失敗談

かくいう私もまだまだ経験が少ない音楽療法士だった頃に、高齢者施設で私が行っていた集団音楽療法の様子を見ていた看護師の方から「ピアノが弾けて歌が歌えれば誰でもできる仕事なんて、とても楽じゃない」と言われてしまったことがあります。

その言葉を言われた瞬間は非常にショックを受けましたが、よく考えれば、一見レクレーションのように見える活動の中にも様々な意図をもって行っていたり、それによりどんな効果を狙っているのかなど、私から他職種の方に積極的に働いていないために言われてしまった言葉だったと大反省しました。

このように、音楽療法士として常勤・非常勤で働けたとしても、積極的に周りに音楽療法の効果やすばらしさを伝えていかない限り、認めてもらえない場合があるという点は他の職種にはあまり見られないのではないか、と感じました。

音楽療法という言葉は広まっても、一体それはどのようなものなのかという理解が十分ではない現状、受け身な姿勢ではなく、積極的にその言葉の意味を伝えていかなければいけないということを学びました。

 

音楽療法士の大変さその②体の酷使

音楽療法士はピアノで歌の伴奏を演奏するだけではなく、弾き歌いや歌いながら歌詞読みをするなど喉と腕を酷使することがよくあります。

喉と腕を酷使しすぎると、声帯を痛めて声が出なくなってしまったり、腱鞘炎になってしまうことにつながります

一度このように体を壊してしまうと、繰り返し腱鞘炎になってしまうなどくせになる場合もあるので、音楽療法士として働く場合は仕事量と体のバランスを取るのが大変なところでもあります。

音楽療法士になって過労で倒れた失敗談

実はこの私自身、現役の音楽療法士として稼働していたころ、過労でぶっ倒れた経験があります。

フリーの音楽療法士として稼働していた時、毎日3~4件高齢者施設や児童福祉施設で音楽療法を行うという日々を過ごしていました。

一回の音楽療法セッションの時間は50~60分という短めなセッションが多かったのですが、私が受け持っていた音楽療法は集団セッションが多く、そしてアシスタントがいないセッションが8割ほどでした。

1人で歌詞幕を貼って、ピアノも弾いて、楽器も配って、弾き歌いもして、歌いながら指示をして…。

そんな活動を毎日、それも週6日ペースで休みもほとんどない状態で活動していたころ、ある日突然声が出なくなり、腕も痛くピアノが弾けなくなり至急病院へ。

医師からは、喉の酷使、そして腱鞘炎と診断されました。

そして、このままのペースで働いている数か月で声が出なくなるとも言われました。

これをきっかけに働き方を大きく見直しましたが、音楽療法士は喉や体全体のケアを定期的にする必要があると思います。

 

音楽療法士の大変さその③様々な人とのコミュニケーション

音楽療法は、児童から高齢者まで幅広い方を対象に実施します。

多くの方と会話をしたりコミュニケーションをすることはとても気を遣うので、気づかない内に疲れがたまってしまうことが非常に多いです。

また、セッション内でコミュニケーションをするために、様々なニュースや話題を事前に収集する必要があります。

もちろん、音楽療法では音楽を介してコミュニケーションを行うことが多いですが、音楽療法中には会話によるコミュニケーションも大切です。

様々な年代の方々とコミュニケーションをするために、アニメやニュースを見たり、新聞を読むことは必須となるので、隙間時間などにチェックする大変さがあります。

高齢者と児童を対象に音楽療法を行っていた時の話

私はこれまで高齢者と児童を対象に音楽療法を実践してきましたが、幅広い年代の方々ともコミュニケーションがスムーズに取れるように、常に隙間時間ではアニメやニュースを見るようにしていました。

私が現役当時、酷使していたのがアベマTV

アベマTVではアニメだけではなく、最近の話題やニュースの速報なんかもスマホでチェックできるので、片時も手放せないアイテムでした。

アベマTVのサイトはこちら↓

AbemaTV

 

音楽療法士は大変なことばかりじゃない

これまで音楽療法士の大変さについて書いてまいりましたが、音楽療法の仕事は大変なことだけではありません

大変な仕事だからこそ、この仕事でしか得られない喜びや楽しさなどやりがいがあります。

では、音楽療法士の仕事のやりがいとは一体何なのか

次にまとめてみました。

 

音楽療法士のやりがい①笑顔を見た時

音楽療法士として働いていて一番うれしいと思える瞬間は、対象者の笑顔を見た時でしょう。

音楽療法はすぐには結果が出なかったり、対象者の様子から思うようにセッションを続けられないということも多くありますが、だからこそ対象者の笑顔を見れたときは、「ここまであきらめないでやってきてよかった」という思いになります。

対象者の笑顔を見るだけで、これまでの苦労や大変さを忘れてしまうという音楽療法士は、きっと私だけではないはずです。

 

音楽療法士のやりがい②音楽の可能性を再確認できる

音楽療法士を志す方の多くは、音楽を幼い頃から習っていたり、音楽が好きな方かと思いますが、音楽療法士という仕事を通して、改めて音楽のすばらしさを体感できるのは音楽療法士のやりがいの一つだと私は考えます。

日本音楽療法学会の音楽療法の定義には、

音楽のもつ生理的、心理的、社会的働きを用いて、 心身の障害の回復、機能の維持改善、生活の質の向上、行動の変容などに向けて、音楽を意図的、計画的に使用すること

(引用:日本音楽療法学会サイトより)

とあります。

音楽には聴いて楽しむ、演奏して楽しむだけではなく、リハビリや発達の促進など様々な効果を生み出すことができます

そんな音楽のたくさんの可能性を体感できるのは、音楽療法士でしか得られないやりがいと言えるでしょう。

 

音楽療法士のやりがい③音楽療法を通して対象者の新たな姿を知ることができる

私はこれまで数多くの方々を対象に音楽療法を実践してきましたが、音楽療法活動を通して対象者の新たな姿を知ることが非常にありました。

例えば、音楽療法活動を継続的に行っている途中、対象者の方から「昔、ギターをやっていたことがある」とご家族の方も知らない昔のエピソードを知ったり、音楽が苦手だと思っていた子が、音楽療法活動を通して実は音楽が大好きだったということがわかったり…。

このように、施設や家族も知らなかった対象者の新しい一面を知ることも、現役の音楽療法士として活躍していたころのやりがいでした。

 

結論:音楽療法士は大変な分やりがいもたくさん感じられる仕事

ここまで音楽療法士という仕事の大変さとやりがいについて書いてきましたが、結論としては大変な分、やりがいもたくさん感じられるということ。

大変なことばかりでは続けることは難しいですが、音楽療法は対象者や多職種など人の繋がりによって成り立ちます。

人とつながることの難しさや大変さはもちろんありますが、人とつながることでしか得られない喜びも同時に得られるのがこの仕事のやりがいと言えるでしょう。

 

音楽療法士の大変さのまとめ

いかがでしょうか??

日本の音楽療法士という仕事は、まだまだ発展途上な職種です。

まずは理解してもらうことが大変な部分ではありますが、積極的に行動する思いがあなたにあれば、音楽療法士の大変さを乗り越えることは必ずできます

ぜひ、将来の進路として音楽療法士を検討されている方は、参考にしていただければ嬉しいです。