音楽療法士にインタビュー‼︎看護学校に通う音楽療法士に話を聞いてみた

(※2020年11月4日更新)

こんにちは^^

音楽療法士&リトミック講師の柳川円です。

このブログは、今音楽療法士を目指している学生さんや社会人の方向けに情報を発信しているのですが、「音楽療法士として働いている人が周りにいないので、相談できる人がいない…。」「音楽療法士として働きたいけど、実際に働いている人にお話を聞いてみたい‼︎」という方もたくさんいらっしゃるかと思います。

そこで今回は、そんな皆さんのために音楽療法士さんにインタビューをしちゃいました‼︎

今回インタビューに答えてくれたのは、7年間音楽療法士として活躍し、現在は看護学校に通う音楽療法の林田先生です。

音楽療法士へのインタビューはまだまだ少ないので、今回の記事は大変貴重な記事になっていますので、これから音楽療法士を目指している方は必ず‼︎読んでくださいね^^

 

【音楽療法士インタビュー】林田さんのプロフィール

まずは、今回インタビューを受けてくれた林田さんの簡単なプロフィールをご紹介いたします。

名前:林田有美(はやしだゆうみ)

札幌大谷高等学校、札幌大谷大学声楽コース卒業。

市内の精神科病院にて常勤音楽療法士として7年間勤務。

全国音楽療法士養成協議会認定音楽療法士1種称号取得

日本音楽療法学会会員

現在市内の看護専門学校に在学中。

…はい、お気づきの方もいるかもしれませんが、林田先生は私と同期の音楽療法士です笑

私と一緒に音楽療法の授業をとったり、ボランティアに行ったりした仲なのですよ〜‼︎

しかしながら、音楽療法士として7年のキャリアを構築した後に、看護学校に通うとは…すごいバイタリティですよね。

私には真似できないので、本当同期ながらに尊敬します…。

そんな林田さんに、あれこれインタビューしちゃいました。

 

【音楽療法士インタビュー】なぜ精神科の音楽療法士に??

柳川:それでは早速インタビューを始めさせていただきます。

林田さんは7年間精神科の音楽療法士として活躍されていますが、なぜ神科の音楽療法士なろうと思ったのでしょうか??

何かきっかけがあったのでしょうか??

林田先生:市内で常勤音楽療法士として活動出来る職場を探している時に偶然求人があり、精神科の音楽療法士となりました。

初めは高齢者領域を第一志望としていましたが、当時、介護職がメインでの求人がほとんどでした。

より音楽療法士としてのスキルアップが出来る現場で働きたいという思いと、改めて精神科医療や福祉についての学びを深めたいという考えから精神科病院で働くことを決意しました。

柳川:なるほど…確かに高齢者施設での音楽療法士の求人は、ほとんどが音楽療法士 兼 介護士としてですからね。

始めの希望とは違う領域でお勤めなさったということですが、実際に働いてみて精神科領域の見方などは変わりましたか??

林田先生:そうですね。

初めは精神科に対する不安感や偏見が少なからずありましたが、学習を重ね、職員との会話や患者さんとの関わりを通し理解が深まり、精神科音楽療法士としてのやりがいを感じることが出来るようになりました。

柳川:やはり、音楽療法は人と人の関わりがあってできるものですからね。

たくさんの関わりを経て、精神科音楽療法士としてたくさんの活躍が実現できたのは素晴らしいことだと思います。

 

【音楽療法士インタビュー】精神科ではどんな音楽療法を行っていたのか??

柳川:私は児童領域と高齢者領域をメインとして音楽療法士として活躍していたので、精神科領域の音楽療法の現場経験が少ないのですが、林田先生は精神科ではどのような音楽療法を行なっていたんでしょうか??

林田先生:私は主に入院患者さんの社会療法活動を担当していて、作業療法士、心理士と共にプログラムを運営していました。

社会療法は精神科リハビリのことで、非薬物的療法として効果が期待されています。

社会性の獲得や生活リズムの獲得などを目的に、医師から作業療法の処方箋がおりてから、患者さんと相談の上、参加プログラムを検討していきます。

柳川:他職種の方と上手く連携されていてとても素晴らしいですね‼︎

音楽療法のプログラムというのは、具体的にどのようなものを行なっていましたか??

林田先生:音楽療法では、活動性の維持や感情発散機会の提供などを目的としたオープングループの歌唱活動の他、社会性や達成感の獲得を目的として、患者さんが主体的に院内コンサートの開催に取り組むクローズドのコーラス活動などを実施していました。

特にコーラス活動ではマズローの欲求段階の中でも高次欲求とされる承認欲求、自己実現欲求を満たすことにもつながり、閉塞的な入院生活の中でも、患者さん一人一人のQOLを高める効果がありました。

時には症状に悩まされ活動参加が困難となることや、患者間で衝突することもありましたが、都度その時の行動を振り返り、対処法を学ぶことで集団としての凝集性が高まる場面も多く見られました。

また、本番を終えた後の患者さん一人一人のいきいきとした表情や次回に向けての意欲表明が見られたことが、音楽療法の効果であったと考えます。

柳川:対象者の方のいきいきとした表情を見ると、音楽療法士としてとてもうれしくなりますよね。

私も、数年前にセッションした対象者の方の笑顔を昨日のように思い出すことができます。

 

【音楽療法士インタビュー】なぜ今看護を勉強しているのか

柳川:林田さんは約7年間お勤めになった精神科を退職し、現在は看護学校に通っているということでしたが、なぜ看護学校へ通おうと思ったのでしょうか??

林田先生:精神科医療チームの一員として勤務を続けていくうちに、音楽療法士としてのスキルアップだけでなく、より幅広い支援を行える存在になりたいと考えたことがきっかけでした。

音楽を通した関わりにより、対象者の苦痛緩和や社会性の向上などに携われていたことに多くのやりがいを感じていました。

それと同時に、多職種と連携をする中で医学的知識が増えれば、根拠ある実践がもっとできるのではないかと思うことが多くなりました。

自信を持ち根拠ある実践を行えるよう、もっと知識と技術を身につけたいという思いと、より多くの場面に介入出来る資格を持つことで多面的な支援が出来る存在になりたいと考え、看護師の資格取得を目指しました。

柳川:7年の大キャリアがあるのにも関わらず、もっと勉強しようと思うのはすごいバイタリティですね…。

私も見習わなければと痛感させられましたが、医学的知識を増やす上でなぜ看護師を目指されたのでしょうか??

林田先生:看護師は身体的、心理的、社会的ケアを幅広いフィールドで実践出来、様々な知識と技術を持ち合わせています。

また、多職種間の橋渡し的存在でもあります。音楽的アプローチだけでは解決しない苦しみや辛さをどのように多職種と連携をとり、目の前の患者を救うことが出来るのか、自分自身もその一端を担うことが出来たらより充実したケアを提供出来るのではないかと考えました。

医学的根拠などの知識や病態治療の理解を深め、今後は看護ケアの実践と共に音楽療法の可能性をさらに見出したいと考えています。

柳川:す、す、すごい〜‼︎

今年看護学校を卒業されるとのことでしたので、林田さんが看護ケアの実践と音楽療法的アプローチのどちらもされている姿を早くみたいですね^^

 

【音楽療法士インタビュー】音楽療法士になる前にやっておいてよかったこと

柳川:今回は私のブログ掲載用のインタビューなのですが、私のブログは主にこれから音楽療法士を目指している方に多く読まれています。

林田さんの音楽療法士として活躍した経験から、音楽療法士になる前にこれだけはやっておいた方がいいと思うことはありますか??

林田先生:そうですね。

沢山ありますが、一番は自身の表現力を磨くことだと思います。

音楽療法では、音楽を媒体とし人との関わりの中でアプローチを展開していくため、どのように伝えたら相手が理解を示してくれるのか、どのように受け取る姿勢を持つことで相手が自身を表現しようとしてくれるのか、ということを常に考えなくてはいけないと思います。

互いに思いを伝える、というプロセスは簡単なようで難しいことだと私は考えています。

そのため、まずは自身の表現力を高め、どのようにしたらより良い関わりに繋がるのかを考えることが重要だと思います。

柳川:音楽療法は非言語療法ですから、音楽療法士を目指す上では表現力はなくてはならないものですよね。

林田さんは音楽療法士になる前に、どのようにしてその表現力を磨いていたのですか??

林田先生:私は学生時代、主に舞台表現や歌唱活動を通してその力を高めていきました。

伝える力を持ってこそ、表現方法を示すことが出来ると思いますし、相手を動かすことも出来ると思います。

また、実習やボランティア活動を通して実践力を身につけたことは、働いてからもとても役立ちました。

柳川:音楽療法士になる前に、積極的にボランティア活動をすることは大切ですよね。

現場のこともよくわかりますし、その経験は音楽療法士になってからものすごく役立つことを私も感じました。

他に、表現力を磨く以外にやっておいた方がいいと思うことはありますか??

林田先生:たくさんありますよね。

ピアノ伴奏、歌唱技術を高めること、臨機応変な対応力を身につけること、レパートリーを増やすこと、仲間や先生と共にプログラムについて検討を重ねること、知識を講義や本から得ることなど、数えるとキリがありませんが、時間のある学生時代だからこそ、様々なことに取り組んでおいた方がいいと思います。

また、音楽療法士として就職してからも研修会に参加し、医療、介護、福祉、対人技術、音楽など最新の知識を獲得し続けることは大切だと思うので、学生時代のうちに知識をたくさん身につける機会があれば参加するといいでしょう。

柳川:私もフリーランスの音楽療法士として稼働していましたが、ピアノ伴奏やレパートリーを増やしておくことは非常に大事だと思います。

働いてからだと、学生時代のように練習時間が取れなくなりますからね…。

余談ですが、私が思う音楽療法士を目指すならやっておいた方がいいと思うことも別記事に書いているので、そちらの参考にしてくださいね。

音楽療法士になるには何をすればいいかまとめてみた【学生編】

 

【音楽療法士インタビュー】今音楽療法士を目指している方に一言‼︎

柳川:まだまだ林田さんに聞きたいことがたくさんあるのですが…。

そろそろお時間が迫ってきましたので、最後に私のブログを読んでいる今、音楽療法士を目指しているみなさんに一言お願いします‼︎

林田先生:音楽療法は多くの可能性を持っている素晴らしい仕事だと思っています。

様々な人と関わる中で沢山の感動的な体験をすることが出来ます。

仕事として継続的に実践していくためには個人の技術を磨き、専門性を高めることだけではなく、多職種と連携をとり目標達成にどのように向かっていけるかが重要になってくると思います。

そのためには、対人技術を磨くこと、科学的根拠は常に最新の知識を得ること、音楽療法について自身の見解を話せることが必要と考えています。

なによりも音楽が大好き‼︎という気持ちを大切に、自分の可能性を信じながらさまざまなことに挑戦していってほしいと思います。

応援しています‼︎

柳川:林田さん、本日は貴重なお時間をいただきありがとうございました^^

 

音楽療法士にインタビュー‼︎看護学校に通う音楽療法士に話を聞いてみたまとめ

いかがでしたか??

実際に精神科病棟で働いていた音楽療法士さんのお話が聞けるなんて、とても貴重な機会だと思います。

ぜひ、今音楽療法士を志している方は今回のインタビューを参考にして、どんな音楽療法士になりたいのか、理想のイメージを膨らませてみてくださいね。