こんにちは^^
音楽療法士&リトミック講師の柳川円です。
今、音楽療法士の資格取得を目指して勉強されている方の中に、理論や障害、疾患については参考書などで学べるけど、実際の音楽療法を行うプログラムの立て方の本や資料が少なく、頭を抱えている方はいませんか??
そこで今回は、発達障害時専門の音楽療法士である私が、子どもを対象とした音楽療法のプログラムの例や立て方について説明していきます。
児童領域の音楽療法に興味がある方は、ぜひご一読ください。
【音楽療法】プログラムの例〜子ども編〜
現在、日本の音楽療法は大きく3つの領域で行われています。
3つの領域とは、
- 高齢者領域
- 精神領域
- 児童領域
となっています。
私は約5年間、高齢者領域と児童領域を対象に音楽療法を行ってまいりました。
その経験から、今回は児童領域の音楽療法のプログラムの立て方や、プログラムの例などをまとめてみました。
【音楽療法】子供のプログラム〜対象者を知る〜
これは子ども(児童領域)を対象とした音楽療法に限った話ではないのですが、音楽療法を行う前に、まずは対象者を知ることから始まります。
対象者を知るということは、どのような障害があるか、疾患があるか、日常生活の様子などなどです。
子どもを対象とした音楽療法を行う場合、対象者を知るために、音楽療法を実施する施設職員や保護者などから情報を得ることが多いです。
【音楽療法】発達障害の理解を忘れずに
子ども(児童領域)を対象とした音楽療法を行う場合、対象者は発達障害である場合が非常に多いです。
子供を対象とした音楽療法を行いたいという方は、発達障害の知識・理解を忘れずにしておきましょう。
音楽療法士が覚えておきたい発達障害について、過去の記事にまとめさせていただきましたので、そちらもぜひご参考ください。
【音楽療法】子どものプログラム〜個人活動か集団活動か〜
これも児童領域に限った話ではありませんが、音楽療法には様々な分類があります。
音楽療法を行う形として、2名以上の参加者がいる集団音楽療法と、個人で参加する個人音楽療法があります。
個人音楽療法で行うか、集団音楽療法かどちらの形態で行うかは、対象となる児童の様子などから決めます。
集団活動が苦手なお子さんや、他の児童との関わりなどが難しいお子さんなどは、個人で音楽療法活動を行うことが多いです。
【音楽療法】子どものプログラム〜プログラムの緩急を考える〜
児童を対象とした音楽療法プログラムを行う場合、多くの1セッション時間は30〜45分ほどと、高齢者や成人(精神)領域と比べて時間が短いです。
児童は成人に比べ集中力が短いため、集中して活動してもらえるよう、プログラムの中に緩急をつけるなど工夫をするといいでしょう。
例えば、最初に動く【動】の活動を行った後は、椅子に座るなどの【静】を行うなど、対象者の児童が飽きないよう、集中力が続くよう工夫するといいでしょう。
【音楽療法】子どものプログラム〜目標・目的を立てる〜
それではここから、児童を対象に実際に私が行なっていたプログラムを例にしながら、児童を対象にした音楽療法活動のプログラムを説明をしていきます。
今回例にするのは、集団セッションで行う場合にします。
児童発達支援事業や放課後等デイサービスでの音楽療法を行う場合、
- 運動面(粗大運動、微細運動など)の発達
- 認知面(事柄、環境など)の発達
- コミュニケーション能力の発達
などの目標を立てながら、音楽療法活動を進めておりました。
では、それらの目標に対して、どのようなプログラム内容を組み立てていくのかについて、まとめていきましょう。
子どもの音楽療法プログラム例…①はじまりの歌
音楽療法活動の開始に、「♪はじまりのうた」となる歌を歌います。
対象児によっては、言語理解ができないお子さんもいるので、歌を通じてこれから音楽療法を始まることを意識づけさせます。
【児童音楽療法】はじまりの歌となるおススメソング
私は児童を対象にした音楽療法のはじまりのうたに、こちらの【静かな森の大きな木】の中の曲を使っていました。
静かな森の大きな木―音楽療法のためのオリジナル曲集の本はこちら
また、児童を対象にした音楽療法を行う場合は、こちらの本もおススメです。
どちらの本にも、「♪はじまりのうた」となる歌が掲載されているので、参考にしてください。
音楽で育てよう 子どものコミュニケーション・スキルの本はこちら
子どもの音楽療法プログラム例…②【動】活動
児童発達支援事業や放課後等デイサービスで音楽療法を実施する際は、ほぼ集団音楽療法活動だったので、まずは全員で体を動かす【動】の活動を行います。
対象児によっては、椅子に座るような【静】活動を先に行う場合もありますが、私が音楽療法を担当した児童は「早く体を動かしたい‼︎」という子が多かったので、よく【動】活動を最初に行っていました。
では、プログラムの前半にどのような【動】活動を行なっていたのか、具体的にご紹介していきましょう。
【子どもの音楽療法】動活動〜GO&STOP〜
私がよく行っていた【動】の活動は、GO&STOPという活動です。
リトミック活動の即時反応活動のことで、音が鳴っている間は走ったりして動き回り、音が止まったら止まるという活動です。
この活動は、音を聞かなければ対応できないので、集中力を高めることや思考力をつけることに効果のある活動です。
【子どもの音楽療法】動活動〜リボン活動〜
リボン活動とは、音楽の緩急に合わせて新体操で使用するようなリボンを振るという活動です。
こちらも先ほど紹介したGO&STOP同様、音楽の音が大きい時にはリボンを大きく回し、小さくなったらリボンも小さく回すという即時反応を目的とした活動内容を行なっていました。
リボン活動に使用した曲は、
- 子犬のワルツ
- 清らかな小川(ブルグミュラー)
などなどの曲がおススメです。
また、この活動で使用していたリボンは、手作りの新体操リボン。
購入することもできたのですが、なかなか値段の関係上、私は自分で一本一本リボンを手作りしていました。
リボンの参考にしていたサイトのリンクを、こちらにも貼らせていただきますね。
【子どもの音楽療法】動活動〜サーキット〜
動活動の花形とも言える活動、サーキット。
サーキットとは、スタートからゴールまでのコース上に様々な運動課題を用意し、繰り返し行うという遊びです。
この活動では、コース上にある運動課題をこなすことで、自然と体力や運動能力を上げることにもつながります。
サーキットは発達障害児の機能訓練としても効果があると言われています。
発達障害児の活動には安全など十分な配慮が必要ですが、室内で、かつ、安全などが配慮された空間で様々な運動課題に取り組むことができるので、音楽療法時にもサーキット活動はよく行います。
サーキット活動に使用する道具や運動課題は、持ち運びができ、安全が配慮できるものがいいでしょう。
私はサーキット活動にて、下記のような持ち運び可能の子供用トンネルなどを使用していました。
子どもの音楽療法プログラム例…③静活動
15〜20分ほど体を動かす【動】活動を行った後は、椅子に座った【静】活動を行なうことがおおかyったです。
静活動は、対象者の集中力にもよりますが、ほとんどが10分前後でした。
では、実際にどのような静活動を行なっていたのか。
早速ご紹介していきましょう。
【子どもの音楽療法】静活動〜歌唱活動〜
静活動では、歌唱活動を行なっていました。
他者と一緒に歌を歌ったり、声を出すことは、他者との一体感を感じることで協調性や社会性を学ぶことにもつながります。
私がよく使用していた曲は【静かな森の大きな木】の中に掲載されている「♪大きくア」。
短く、わかりやすい曲なので、なかなか集中力が続かないお子さんにも、非常におススメです。
静かな森の大きな木―音楽療法のためのオリジナル曲集の本はこちら
【子どもの音楽療法】静活動〜楽器活動〜
静活動では、歌唱活動以外に楽器活動を行うことも多かったです。
楽器活動の内容は、一人一人違う楽器を自由に鳴らしたり、一つの楽器を順番に演奏するなど様々な活動内容で行なっていました。
このような楽器を通じた活動によって、
- 他者との一体感
- コミュニケーション
- 順番を待つ
などの社会性を身につけることにもつながります。
子どもの音楽療法プログラム例…④動活動
座る活動に集中力が切れてくる前に、再び動活動を行います。
私は最後の動活動では、写真のように参加者や施設スタッフ、保護者など全員でオーガンジーの布を持ち、音楽に合わせて布を振るという活動を行なっていました。
オーガンジー活動におススメな曲として
- 北風小僧の寒太郎
- セブンステップス
などなどがありますので、ぜひ試してみてくださいね。
子どもの音楽療法プログラム例…⑤おわりのうた
最後ははじまり同様、「♪おわりのうた」となる歌を歌います。
毎回、活動の終わりに同じ歌を歌うことで、活動の終結を感じる意識をつけさせます。
終わりの歌として、私は「♪大きなのっぽの古時計」を歌っていました。
また、歌いながら順番にツリーチャイムを鳴らすことがありました。
子供の音楽療法の曲や季節に沿ったプログラムを知りたいという方は
今回は子供を対象とした音楽療法のプログラムをご紹介しましたが、実際のプログラム例を見てみたいという方や、おすすめな曲を知りたいという方は、過去のブログにまとめていますので、下記リンクよりご覧ください。
【音楽療法】子どもの音楽療法プログラムは??まとめ
いかがでしたか??
今、児童領域の音楽療法に興味のある方や、これから児童領域の音楽療法を実践される方は、参考にしていただければ非常に嬉しいです。
このブログをきっかけに、あなたらしい児童音楽療法を見つけていってください。
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