高齢者の音楽レクレーションで楽しく脳トレするコツ【音楽療法士直伝】

(2020年11月4日更新)

こんにちは。

音楽療法士&リトミック講師の柳川円です。

まだまだコロナの影響により、高齢者施設などでも外への外出が難しいという日々が続いているかと思いますが、そろそろ室内でのレクレーションネタを考えるのにも限界がきているという方はいませんか??

今回はそんなレクレーションネタにつまっている介護施設で働く皆さんのために、音楽療法士である私が音楽レクレーションで楽しく脳トレをするコツを教えちゃいます。

最近、介護レクネタが尽きてしまった方やこれまでと違うレクレーションを探していると言う方は、是非参考にしてみてください。

 

【脳トレコツ】音楽は高齢者の脳トレにとってもおすすめ

高齢者施設などで音楽レクレーションという形で脳トレ活動を行っている施設などがあるかと思いますが、実はこの音というのは高齢者の脳トレに非常に効果があるといわれています。

なぜ音楽は脳トレに非常に効果的かと言うと、音楽を使うと2つのことを同時に行うデュアルタスクが行いやすく、かつ、楽しみながら継続しやすい脳トレとなるからです。

詳しくは過去のブログにも書いていますので、そちらもご覧ください。

高齢者の脳トレは音楽を使えば効果的!!音楽療法士が教える脳トレ方法

 

高齢者の音楽レクでより効果的な脳トレを行うコツ

先ほども挙げたように、二つの動作を同時に行うデュアルタスクというのは、脳の様々な部分を活性化させるので認知能力を向上させると言われています。

音楽を使ったレクレーションでは、歌いながら楽器を鳴らしたり、歌いながら体を動かしたりすることが多いのですが、このデュアルタスクをより意識しながらレクレーション活動を考えていくとただ楽しいレクレーションで終わるだけではなく、楽しみながらより効果的な脳トレができるレクレーションになれるのです。

ではどのようにすればより効果的な介護レクとなるのかと言いますと、選曲の工夫を意識するだけで、楽しみながらいつも以上に脳トレに効果のある音楽レクレーションに変身できるのです。

 

高齢者の脳トレ音楽レクの選曲の工夫

私はこれまで高齢者領域での音楽療法活動を数多く行ってきましたが、活動内容を考える際に一番時間がかかるところは選曲です。

なぜなら、この選曲によってより脳トレに効果のある音楽活動ができるかどうかが大きく変わってくるからです。

では、音楽療法士の私が一体どのような点に注意して選曲しているかと言うと、

  • 拍子
  • 歌詞を知っているか

の大きく分けて2つの点に注意して選曲をしています。

愚田的にそれぞれについて説明していきましょう。

 

脳トレレクのコツ①曲の拍子

まず、選曲をする際は何拍子の曲であるかを意識します。

拍子というのは、楽譜のあたまに【4/4】や【3/4】などと書いている数字のことを言うのですが、音楽経験のない方からすると、この数字が一体何を表しているかわからないという方も多いですよね。

音楽は言語で表現するにはなかなか難しい部分があるので、拍子について実際の音楽を聞いて説明をしていきましょう。

まずはこちらの動画をご覧ください↓

誰もが一度は歌ったことのある童謡【♪ぞうさん】ですが、この曲の歌詞を口ずさまずにリズムを1、2…と数字で口ずさんでみてください。

数字で口ずさむと、「1、2、3、1、2、3…」と3つのかたまりでこの曲ができていることに気づきませんか??

このように、3つの四部音符で一小節が成り立っている曲は、3拍子となります。

では、次にこちらの歌を聞いてみましょう↓

まさにこれから本格的に季節が到来する【♪スキー】ですが、こちらの歌もさきほどの【♪ぞうさん】同様に歌詞ではなく数字でリズムを口ずさんでみましょう。

すると、「1、2、3、4、1、2、3、4…」と4つのかたまりでこの曲ができていることに気がつくはずです。

このように、4つの四部音符で一小節が成り立つ曲は、4拍子となります。

実は、この3拍子と4拍子の曲どちらを使うかによって、より楽しみにながら効果的な脳トレにつながる活動になるかどうかが変わってくるのです。

【高齢者の脳トレ】3拍子は日本人にとって難しい

それぞれの国や文化によって音楽も特徴がありますが、日本の文化の中には3拍子のワルツの文化が少ないため、日本人にとって3拍子で音楽活動をするのはなかなか難しいと感じます。

ヨーロッパなどではワルツのリズムに合わせて踊る文化はありますが、実は日本は世界一踊らない国とも言われており、そんな日本人の馴染み深い踊りといえば盆踊りなど3拍子とは全く違う音楽となっています。

ですから、3拍子の曲を使って楽器演奏などをレクレーションで行う場合は、鳴らし方を工夫するなどの配慮が必要でしょう。

【高齢者の脳トレ】3拍子の曲を使った音楽レクレーションのコツ

なかなか日本人には馴染みが少ない3拍子の曲ですが、童謡や唱歌に3拍子の曲が多いのでどうしても音楽レクレーションで使用したいという場合もあるかもしれません。

では、一体どうすれば高齢者の方に楽しみながらより脳トレに効果のある音楽レクレーションになるかと言いますと、先ほども述べたように活動内容を工夫するといいでしょう。

具体的にどのように工夫をするかというと、3拍子というのは1拍目にアクセントがつき、2、3拍目が弱拍になるリズムです。

ですから、1拍目に動きをつけて参加者の皆さんが3拍子を体感できるような動作を取り入れるといいでしょう。

例えばですが、楽器活動なら1拍目では腕を上げて楽器を鳴らす、2、3拍目は腕をおろして鳴らす。

手の体操を行うなら、1拍目ではパー、2、3拍目でグーにするなど、1拍目と2、3、拍目で動きを変えると、日本人に馴染みが少ない3拍子の曲でも歌いながら楽器を鳴らすなどの二つの動きを同時に行うデュアルタスクが成立し、脳トレにつながるでしょう。

【高齢者の脳トレ】4拍子の曲の方が達成感が得られやすい

日本人にとって3拍子は難しいリズムの一つですが、日本の古くからの民謡などはほとんど4拍子の曲となっています。

先ほども挙げましたが、夏に行われる盆踊りなどが日本人に馴染み深い音楽ですが、ほとんどが4拍子となっていますね。

高齢者の方にとっても3拍子より4拍子の方が馴染みのあるリズムと言えるので、音楽を使ってデュアルタスクを目的としたレクレーションを行う場合は、なるべく3拍子よりも4拍子の曲を使用するといいでしょう。

【高齢者の脳トレ】4拍子でも裏打ちは難しい

デュアルタスクを目的とした音楽レクレーションを行う場合は4拍子の曲がいいとお伝えしましたが、4拍子の曲であればどんな活動をしても効果的な脳トレに繋がるというわけではありません。

4拍子は【1、2、3、4】の4つのかたまりでできていますが、このうち【2】と【4】が強拍となる、いわゆる裏拍でリズムを取るのは日本人にとって非常に難しいです。

裏拍というのはどのようなリズムかというと、

こちらの動画を見ていただければわかると思いますが、日本の曲のほとんどは表拍のリズムでとるものが多いため、裏拍でリズムを鳴らすことはトレーニングを積み重ねないと難しかったりするのです。

ですから、高齢者の方を対象とした音楽レクレーション活動で、楽器や手拍子を裏拍で鳴らすように指示するということは、レクレーション参加者にあった楽器活動とはいえないのです。

高齢者の方に馴染み深い音楽というのは、【♪炭坑節】などの古き良き日本音楽です↓

【♪炭坑節】を聴いていただければわかるかと思いますが、4拍子の中でも【1】と【3】が強拍となっていますよね。

いわゆるこれが表拍でリズムを取るということなのですが、まさにこれが日本人が乗りやすいリズムなのです。

ですから、高齢者の方を対象にデュアルタスクの目的で音楽活動を行う場合は、4拍子の曲を選んでも裏拍で鳴らす楽器活動などはせず、表拍で鳴らす指示をするよう心がけましょう。

 

脳トレレクのコツ②歌詞を知っているか

音楽レクレーションでより脳トレに効果のある活動を行うためには、二つの動作を行うデュアルタスクを成立させる活動を考える必要があります。

その際に大切なことは、参加者の皆さんが歌詞を知っている歌かどうかがあります。

歌詞を見ないと歌えない歌をデュアルタスクを目的とした活動に使用してしまうと、歌うことを忘れて楽器演奏に集中してしまったりと、デュアルタスクが成立しづらくなるのでおすすめできません。

二つのことを同時に行い、脳の活性化を目的とした音楽レクレーションを行うのであれば、なるべく歌は歌詞を見なくてもいいような童謡・唱歌を使用するのがいいでしょう。

 

高齢者の音楽レクレーションで楽しく脳トレするコツ【音楽療法士直伝】まとめ

いかがでしたか??

これから寒さが厳しくなる季節がやってくるので、室内で楽しめる介護レクレーションを考える機会が増えるかと思います。

そんな時に、この記事を参考に新たに参加者の皆さんにとって楽しみながら脳トレにつながるレクレーションを考えていただければ嬉しいです。